セカンド☆ライフ
環さんとの修行2日目。
修行と言うより授業です。

『聞いとるのか詩乃?』

『え…あ…すみません…聞いてませんでした…』

『やれやれ…休憩とするかの』

『ごめんなさい…』

こうして二人きりで話してみると、改めて環さんの凄さが分かります。
頭が良くて…物知りで…
きっと、800年という時間は私なんかが想像もできないくらい色々な経験の積み重ねなんだと思います。

800年かぁ…

あれ?

『環さん環さん』

『ん?』

『環さんはご家族はいないんですか?800年前の』

『ふむ、知らんのか?600年前にセカンドは一度滅んでおる』

『え…ええ!?』

『ファーストも巻き込んだ大きな戦があってな、殆どのセカンドが消滅しおった…儂は運良く生き残った一人というわけよ』

『私知らなくて…ごめんなさい……』

『お主に限らず今のセカンドは皆知らぬよ、気に病むな』

『あ…環さんはその時にホルダーになっちゃったんてすね?』

『何を言うておる?儂はホルダーなどてはないぞ?』

『ええ?でも遺族会って確か…』

『うむ、ある殺人鬼に愛する者を奪われ、ホルダーとなった者の集まりじゃ』

『なのにリーダーさんはホルダーじゃないんですねぇ』

『大人の事情じゃよ』

『ふむぅ…』

なんだろう…
環さん凄く淋しそう…
私…余計な事聞いちゃったかな…

『その殺人鬼って人…どんな人なんですか?』

『忌々しい奴よ…世界最初のホルダーにして、600年前の戦を起こした張本人じゃ』

『そんな怖い人が私達の街にいるんですか!?』

『さぁのぉ…ここ400年程は儂のオブザーブでも所在が掴めぬわ』

『もう死んじゃった…とか?』

『それはない、ヤツは確実に生きておる…恐らく儂のオブザーブに引っ掛からぬカラクリでも見つけたんじゃろ』

『怖いですね…』

『なぁに、狙われるのはホルダーだけじゃ、克服したお前さんには関係ない話よ』

『あれ?最初のホルダーってことは…600年前までホルダーはいなかったんですか?』

『正確には800年前じゃな、800年前にヤツは産まれた…いや、作られたと言うべきか』

『作られた!?ロボットか何かなんですか?』

『式神じゃよ』

『しきがみ?』

『まぁ妖怪みたいなもんじゃ、800年前、ある陰陽師が戦で命を落とした童の魂で2匹の兄妹式神を作った…』

『兄妹?』

『うむ、鬼を封じる妹と、鬼を喰らう兄、2匹は陰陽師と供に民草を苦しめる鬼を駆逐しておった』

『なんだか御伽話みたいですね』

『そうじゃな、今となっては御伽話じゃな』

まただ…
また環さん淋しそうな顔してる…
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