セカンド☆ライフ
『さて、お主は物理干渉系の能力者じゃが…物理干渉がどういうものなのかは理解しておるか?』

『えっと…触ったり触られたり?』

『まぁそうじゃな、ではどこまで干渉できる?』

『どこまで?』

『言い方を変えよう、何に干渉できる?』

『えっと…ゆいりくんにしか干渉したことないです…』

『やれやれ…良いか、我らの物理干渉とは、正確には物理的なものではない』

『んん?』

『物理干渉と言いなから、物質には干渉できん』

『んんん??』

『要は相手がセカンドでなければ効果がないと言う事じゃ、セカンドに対してまるで物理的に干渉しておるかのように見える…それが我らの力じゃな』

『なんとなく理解できました…』

『本来”触る“というのは難しいことじゃ』

『触るのが難しい?』

『視覚からの情報、色や形、それに触覚からの情報、重さや質感、それらの情報を脳が総合的に処理して初めて触ったと解る』

『そんなに難しかったかな…』

『生きておる者には簡単なことじゃよ、なんの意識もなく触れる、しかし我々には実体も脳もない、おかげで”触る“ということがどういうことなのかを忘れておる』

『はぁ…』

『この感覚を取り戻すのは生半可な事では無い』

『私そんなに意識してない…』

『お主の場合はホルダーとしてノイズ越しに”触る感覚“を無意識に学んだのじゃろ』

『じゃぁ元ホルダーの人はみんな物理干渉が使えるんですね』

『残念ながらホルダーを克服できた者などおらん、お主以外にはな』

『え?』

『小僧の能力とお主の能力、両方が揃って初めて出来る奇跡じゃな』

『そうだったんだ…』

『そんな奇跡の産物たるお主だからこそ、儂の力を託したいと思ってな』

『託すだなんて…なんだかお別れみたいな言い方ですね…』

『…そうじゃな、すまんすまん』

この時の環さん、凄く淋しそうな表情でした。
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