セカンド☆ライフ

事後処理

『ただいまぁ』『ただいま』

『久しぶりだなぁ我が家』

『え?ゆいりくんも帰ってなかったの?』

『うん、ここは詩乃と二人の家だからね、一人じゃ帰る気になれなくて』

『そうなんだ…』

『詩乃はどこにいたの?』

『えっとねぇ、ロンドンとか…森の中で修行とか…かな?』

『ごめんまったく伝わらない』

『えぇ!?あのね…えぇっと…そう!環さんと修行したの!』

『バァさんと?なんの?』

『んっと…バインド!』

『ふぬぉ!』

猛烈な力で全身を締め付けられる。

『あわわ!力加減が!』

解放された。

『なるほど…バインド習得したのね…』

『うん、いろいろ教えてもらったよ』

『そっかそっか、やっぱ詩乃はすげぇな』

『凄くないよ…環さんに比べたらぜんぜんだよ…』

『あれは別格でしょ、妖怪だよ妖怪』

『妖怪?式神?』

『へ?』

『なんでもない!』

『んん?凄いと言えば、梅澤さんもすげぇな』

『男の人を軽々と持ち上げてたね』

『いや、確かにそこもすげぇけどさ、ホルダーとしてもかなりの戦闘能力だったよ?佐和田のオッサン秒殺だったし…』

『そうだ!ホルダーだ!』

『ん?ホルダーがどうかした?』

『うん!あのね…え〜と…式神がね…その…』

『オッケオッケ、リンクしようか』

『ぅぅ…説明下手でごめんね…』

詩乃はションボリしている。
説明以前の問題なのだが、本人は必死に説明していたつもりなのたろう。

(リンク)

久しぶりの詩乃とのリンク。
心が安らぐ。
確かに俺は詩乃に殺された…
しかし詩乃に悪意がなかったことなど、何度もリンクしている俺自身が誰よりも知っている。

(馬鹿だな俺…)

(そんなことないよ…)

(あぁそうか、筒抜けなんだよね…ハハハ…)

(じゃぁ私が環さんから聞いた話、共有するね)

(ん、了解)

詩乃から情報が流れてくる。
膨大な情報量だ。
詩乃は説明下手ではあるが、膨大な演算を行う物理干渉能力者だ。
情報処理能力は極めて高い。

(なんだこれ…情報が多すぎてリンク解いたら処理できねぇかも…)

(ホルダー関係だけ抜き出して)

(わかった)

ホルダーに関係した情報だけを拾い上げていく。
世界最初のホルダー。
セカンドの絶滅。
兄妹式神。

(オッケー、リンク解くね)

(うん)

『ふぅ…』

『どうだった?』

『凄いな…』

『うん、凄いよね』

『いや、詩乃が』

『はひ!?』

『よくあんな大量の情報を蓄積してられるなぁ…』

『えぇ!?そんな特別なことは…』

『いや、脳もなしにあの情報量は恐ろしいよ…特に物理干渉の計算式は頭ハゲそうだったよ…』

『やってる本人はなんにも考えてないけどね…』

『ハハ…意識せずにできんのか…やっぱ凄いよ詩乃は』

『そ…そんなことよりホラ、ホルダーの話!』

『あぁ、この情報も確かにおもしろいね、興味深いよ』

『その話聞いてて思ったんだけど…』

『ん?』

『その最初のホルダー…殺人鬼ってさ…純流さん…と関係ありそうじゃないかな?』

『ん…いや、うん、無関係とは断定できないね、可能性としてはあり得る』

『だよね!?』

『関係ある!って断定することもできないけどね』

『あぅ…』

『でもそう考えると納得のいく行動も…いやでもそれだとあの時の行動は矛盾するか…』

『ゆいりくん?』

『だぁぁ!わかんねぇ!』

『あんまり役に立たない情報だったね…』

『いや、そんなことはないよ、俺の中の疑問がいくつか解決した、ありがとね』

『よかった…』

同時に新たな疑問も生まれた。
ホルダー…想像してたものとは少し違うようた。
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