セカンド☆ライフ
本屋の屋根の上で詩乃と人の流れを見ていた。

『前にもこうやって二人で人の流れ見てたよね』

『あ〜、あの時か、懐かしいな』

詩乃を殺した男を探すため、駅前で人混みを眺めていたあの日。
あの日の俺は、まだ何も知らなかった…
そう思うとなんだか懐かしく思えた。

『懐かしいってほど昔のことでもないよ?』

『そうなんだけどね、なんかすっげぇ昔のような気がする』

『変なの』

詩乃がクスクスと笑う。

『しかしアレだな、ノイズってカメラに映るんだな』

『そうだね〜』

『ってことはノイズって物理的な存在ってことなのか…』

『ファーストに干渉できるってことはそうなんじゃないかな?』

『そう言えば花子さんが遺族会本部の扉を吹き飛ばしてたなぁ』

(非物理的存在のセカンドから生まれるノイズが物理的…?)

《デカ長!見つけたで!》

《虎彦!?》

《歓楽街のホストクラブ裏!黒服のチャラい兄ちゃんらがたむろっとるわ!》

《防犯カメラの男もいるのか!?》

《いや、アイツはおらんけどな》

《は?だったら…》

《まぁ聞けや、この兄ちゃんら…全員ホルダーや》

《ホルダー!?》

《おう、ファーストやけどな、使い慣れてないんやろな、ノイズが吹き出しまくっとるわ》

《ビンゴだな》

《やろ?ヤバそうやし一旦本部にもど…あ!!花子ちゃん!?ちょ…》

《虎彦!?虎彦!?》

虎彦からのトークが途切れた。

『切れちゃったね…』

『暴れる花子さんが目に浮かぶよ…』

『どうする?』

『俺達も行ってみよう』

『私場所知らないよ?』

『俺も知らん!飛んでくしかないね』

俺達はなるべく急いで歓楽街へと向かった。
花子さんの戦闘力は重々承知している。
焦らずとも着く頃には終わっているだろう。
実にあっけない幕切れだ。
< 62 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop