セカンド☆ライフ

今の幸せ

あれから丸1日。
横峰さんは失敗したようだ。
唯里君のノイズは移動こそしないものの、明らかに勢いを増している。
このまま放置すればいずれ全てを吐き出し、ゼロになるだろう。
それは僕の望む処ではない。
不本意だがここで喰ってしまうしかない。
もうこれ以上は待てない。

『残念だよ唯里君、君には期待してたんだけどね』

現時点で喰っても僕の目的は達成できない。
しかし霧散されては本末転倒。
こんなモノでも無いよりはマシ。
多少は僕の空腹を満たしてくれるだろう。

『また次のシードを待つよ、さようなら』

僕のノイズが唸りを上げて唯里君を飲み込む。
呆気無いものだ。
何時もと変わらない。
僕は何時もこうして他人を喰らってきた。
その度に虚しくなる。

人として生を積み重ね、死して尚セカンドとして記憶と経験を積み重ね、なのに最期は呆気無く僕に溶ける。

君達はこんな事の為に生まれたのかい?
こんな事の為に生を重ねたのかい?
虚しいとは思わないかい?

君達は無駄だ。
無駄に生きて、無駄に消えていく。
意味なんて無い。
精々僕の腹を満たすだけ、それだけが君達の存在した意味だ。

なんて無駄で虚しく、儚いんだろう。

『ご馳走様♪』

次のシードが現れるのは何年後だろうか。
100年先か、200年先か。
何方にせよ僕の計画は大幅な遅延を余儀なくされる。
残念だ。

いや、そう言えば…
唯里君にはお姉さんが居たね?
まだ諦めるのは早いな。

『そうか…諦めるのは早いか…うん、そうだね、まだ諦めちゃいけないね♪』

『俺も同感っす!!』

!?
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