ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~


「松本くんのお弁当、スタミナがつきそうだね! 美味しそう」


対する俺の弁当は、豚肉のしょうが焼きに(昨日の残り物)、冷凍食品の小さいハンバーグに、唐揚げに(これも昨日の残り物)、冷凍食品のグラタン。



すげー栄養偏ってるけど、確かにスタミナがつきそうだ。つーか、肉多くね。ひとつでいいだろ。


おかずの9割肉だぞ。



ほとんど全部が肉じゃねぇか。やだわ、こんな茶色い弁当。

俺どっちかと言ったら草食系だぞ。緑ちょうだい。せめて一品だけでも緑ちょうだい。


というか、姉ちゃんの弁当も俺と同じおかずだと思うと、色々と心配になる。

姉ちゃんが肉ばっか食って体力つけてもいまより強くなるだけじゃねぇかよ。


「城ヶ崎さんの弁当の方が絶対に100パーセント美味いよ」

「えぇ? そんなことないよ、わたし料理下手くそだし……全然美味しくできないもん」


……ん?


“わたし料理下手くそだし”?


え、まさか?


「城ヶ崎さん、自分で作ってるの?」

「えへへ、下手くそだけどね。うち、今両親が別居中で、わたしはお父さんについてきたから料理作れるのわたししかいなくて」


このルックス、性格に、料理までできるとは。

男の理想詰め放題ですね。


こんな女の子、漫画かアニメかゲームくらいにしかいないと思ってた。



つーか、別居中って、大丈夫なのかな?

ひょっとして、複雑な家庭とか?


なんか、聞いちゃいけないこと聞いた気がして悪い気持ちになる。

でも、城ヶ崎さんは全く気にしていない様子で微笑んでいる。


「そうなんだ」

「うん、あ、よかったら、わたしの少し食べる? ポテトサラダは結構自信あるんだよ!」

「まじ? 食いたい食いたい! えっと、俺のもなんか食う? 大したもん無いけど」

「いいの? じゃあ、しょうが焼きください」


お互い、弁当箱の蓋におかずを乗せ合って、両手を合わせる


「いただきまーす」


声を重ねてそう言うと、城ヶ崎さんからもらったポテトサラダを箸でつまんで口に入れた



ほんのりとする塩味とコショウの香り

じゃがいもの甘味が口内に広がっていく。


うまっ。


なにこれ、今まで食べたポテトサラダの中で一番うまい。


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