佐伯さん
「降りねえの?」
その言葉にハッとして、
気づけば家の駐車場にとまっていた。
咲希と蓮は車から降りていてあたしに声をかけてくる。
「どーしたんだよ?」
コテン、と首を傾げることで蓮の黒い髪が揺れる。
「……思い出してただけだ」
「ふ~ん」
「さ、さぁ。部屋行きませんか?」
この空気を気にしてか、咲希は蓮に声をかけた。
「咲希ー、な~に気ぃ使っちゃってんの」
「使ってませんよ。凛香、早く行こ?」
ちょっと拗ねたように言った咲希を見て、蓮が微かに笑っている。
「言われなくても行くから」
言った後に、少し冷たい言葉だったかな
と思いながら車を降りて、
3人でマンションの中へと入って行った。