残業しないで帰りなさい!

「うたたね王子」

「え?」

扉が閉まった途端、北見さんが変なことを言ったから聞き返してしまった。

「今の人。人事の藤崎課長。あだ名はうたたね王子」

うたたね?なんかずいぶん不名誉なあだ名。
うたたねばっかりしているの?

ちゃんと顔は見なかったけど、王子と評されるからにはやっぱりかっこいいのかな?

北見さんの言葉を聞いて、白石さんは腕組みをすると鼻息を荒くした。

「うたたね王子くらい知ってますよ!でも、藤崎課長ってもう『王子』って年でもないんじゃないですか?」

「うーん、もう35くらいだったかな」

「ですよねー?さすがにちょっと10歳の年の差は私、無理ですわー」

「どうして?上過ぎるの?」

白石さんは肩をすくめて両手でお手上げのポーズをした。

「だってえ、話題とか合わなそうじゃないですか。ジェネレーションギャップってヤツですよ!」

「そうかな?」

「そうですよ!あーあ、北見さんから社内の男性陣の情報を聞くのもこれが最後かー。北見さんの情報、重宝してたのになあ」

「そんなこと言って白石さん、私の他にも情報源持ってるでしょ?」

「えっへっへー、まあそうなんですけどね」

シャキーンと笑顔を見せる白石さん。
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