ラスト・バレンタイン
指で崩さないようにそっと摘んで、口に含んだ。
足元には、昨日の雪が薄っすらと積もっている。
「・・・・・・甘っ」
でも、何故だろう。
ココアのせいだけじゃない。
苦味と甘味だけじゃない。
・・・・・・・少し、しょっぱい、そんな気がした。
それが、自分の頬を伝う涙だと気付くのに、そう時間は掛からなかった。
彼女が、羽月が、どんな想いでこのチョコレートを俺にくれたのかは、もう分からない。
確かめる術も無いし。