【完結】セ・ン・セ・イ
前途多難? 初生徒は問題児
瀬戸朱莉は、基本的に優秀な生徒だ。
彼女の家庭教師を初めて1ヶ月ちょっと、俺は疑問を抱かずにいられなかった。
何故彼女に家庭教師が必要か――?
「朱莉ちゃん、俺が教えなくても分かってるよね」
ついに俺がその疑問を口にした時、彼女のペンを持つ手がピクリと反応して止まった。
「――分からないから、センセーにお願いしてるんですよ?」
「わざとらしいな、敬語」
俺と2人の時には、彼女は決して敬語を使わない。
それどころか例のお嬢様然とした様子もどこかに隠れてしまう。
――いや、こっちが本来の彼女なのだろうが。
「本当は必要ないでしょ、家庭教師とか」
「成績悪いんだもん」
嘘だろう、と、丸ばかり並んだ問題集を一瞥する。
これだけ理解できていて成績が悪いはずがない。
それでも不思議なことに、先日見せられた彼女の中間テストの結果には60~70点台が並んでいた。
まさかとは思うが、もしかして
「――わざと?」
俺の質問に、彼女は答えなかった。
聞こえないフリを決め込んで、再び問題集にペンを走らせ――、そして、わざとらしく計算を間違えた。
彼女の家庭教師を初めて1ヶ月ちょっと、俺は疑問を抱かずにいられなかった。
何故彼女に家庭教師が必要か――?
「朱莉ちゃん、俺が教えなくても分かってるよね」
ついに俺がその疑問を口にした時、彼女のペンを持つ手がピクリと反応して止まった。
「――分からないから、センセーにお願いしてるんですよ?」
「わざとらしいな、敬語」
俺と2人の時には、彼女は決して敬語を使わない。
それどころか例のお嬢様然とした様子もどこかに隠れてしまう。
――いや、こっちが本来の彼女なのだろうが。
「本当は必要ないでしょ、家庭教師とか」
「成績悪いんだもん」
嘘だろう、と、丸ばかり並んだ問題集を一瞥する。
これだけ理解できていて成績が悪いはずがない。
それでも不思議なことに、先日見せられた彼女の中間テストの結果には60~70点台が並んでいた。
まさかとは思うが、もしかして
「――わざと?」
俺の質問に、彼女は答えなかった。
聞こえないフリを決め込んで、再び問題集にペンを走らせ――、そして、わざとらしく計算を間違えた。