ESORA PINK《短》
私のそんな態度に苦笑する八智に微笑みかけると、なにかを諦めたようなため息が聞こえる。

見上げるとそこには廉が立っていて、灰皿と煙草をテーブルに置くと転がっていた空のボトルをテーブルの端に集めていった。

「ごめんね。ありがと」

テーブルの端に行儀良く並んだボトルを横目に見ながら素直にお礼を述べると、廉は眉間に皺を寄せる。

そしてなにも言わずに少し迷うような表情をしたあと、私の左隣に座った。

なぜ、私のことを嫌っている廉がわざわざ私の隣に座るのか?

それはただ単純に、廉がこのソファをとても気に入っているからだ。

私の隣に座るということを我慢してでも、このソファに座る価値があると考えているらしい。

ちなみに、これを言えば廉は怒るけれど、私と廉の好きなモノはけっこう似ていると私は思っている。
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