とけるほど、抱きしめて
圭祐said
カフェを始めて2年になる。
この場所にしたのは、大学で仲間だった
永島隼にいい物件があると
情報得て人通りやら細かいリサーチを重ねて決めた。

ようやく軌道
に乗り固定客も入ってくれる店になった頃だった。

店を覗き込む二人の女の子。
ドアが開き彼女達が入ってきた。

1人は明るくて
人懐っこさのある女の子。名前はカナさん、
もう1人は、ふんわりした感じの柔らかい笑顔の女の子。マキさん。

俺の淹れたラテと手作りケーキを幸せそうに食べて、ニコニコ笑う。

ヤバイ。マキさん。イヤ、マキちゃん。
つい目で追ってしまう。
小さな手に握られたフォークでケーキを食べている横顔。
一目ぼれかぁ?
俺はつい「また、おいでよ。ランチもやってるから。」

彼女はニコニコしながら手を振った。

あれから、来店するのは、カナちゃんだけで、マキちゃんはどうしてる?
カナちゃんに聞いて見た。
「マキは、デザイン画の仕事が詰まっていて忙しくしてる。」
少し伏せ目がちに答えた。
「マキの事は今いいでしょ!
圭祐さん、一緒に映画行きましよう?」
もっと圭祐さんを知りたいです。」
アドの交換をせがまれ、LINEでやりとりする様になっていた。

仕事の事やら、時々相談にも乗っていた。何処か後ろ目たさがあった。
マキちゃんのことが知りたかったからだ。俺は、ガキかぁ〜。
自分でも情けない位、マキちゃんという存在が大きくなっていた。
カナちゃんの話しさえ
やんわりと微笑む程度にとどまっていた。
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