とけるほど、抱きしめて
大切な時間
重い身体を無理やり起こして、
バスルームに入った。熱いシャワーにうたれながら、昨日の圭祐さんの
唇の感触を思い出す。そっと自分の唇をなぞった。
濡れた髪をタオルで抑えながら、
ミネラルウォーターを口にした。

さぁ、何かアイデアが見つかるかもしれない。薔薇園に出掛けよう。
髪は、ゆるいカールの髪をふんわり横で結んでお気に入りのレース使いの生成りのシュシュで飾り。
ニットのワンピースは、黒とグレーのバイカラー。
靴は少しヒールのあるブーツにした。
よし、行きますか!
自分に気合を入れて。玄関のドアをあけた。
マンションを出て、駅へと向かう途中、
本屋さんに寄ろう。
コサージュの作り方。
ブーケを手作り。そんな本を見つけた。
何か参考に出来たら。
時間もないし、少し小走りでショップをでて、駅に向かった。
そこに、見慣れた人、
圭祐さん…。
「マキちゃん。さっき連絡先を隼に聞いて電話したんだ。気付かなかった?」

「あっ。ごめんなさい。電車に乗るつもりだったので、電源切ってました。」
「昨日、約束したよ?一緒に行くって?」
「その場の流れと…思ってました。」
本当は、まともに顔見れないって思ったからだった。
すっと横に寄ってきて私の手を握った。
「行こうか!今日は、プチデートだね。」
薔薇園に着いて、薔薇といっても沢山の
品種や、カラフルな色のもの。
隣のハウスに入って行くと、中では、
落ちた花びらを使ったポプリ作りや、
押し花アート。色んな講習会が行われていた。私は、圭祐さんと押し花アートに挑戦。
花びらを使ってウサギを造ったつもりが
猫?犬?
圭祐は、ケラケラお腹を押さえて笑う。
なんだがムッとして背中を向けた。
圭祐は、「ゴメン、怒った?」くるっと
私の向きを変えた。
おでこをくっつけてにっこりわらった。
キスされる…何か私だけ焦ってる。
真っ赤になってるのが自分でもわかる位熱い。
それから、沢山資料用に写真をとった。
併設されたショップでかわいい小物や
アロマオイル、バスソルト、バスソープ
ボディクリーム。パッケージも可愛くて
嬉しくなった
圭祐さんが、今日の記念だよ。と
アロマオイルとポットを買ってくれた。
こんな幸せを私が感じてもいいの?
カナを悲しませる事になるのに。

ズルい自分…。最低だと責める自分。

こんなんじゃ…。ダメだよ…。
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