とけるほど、抱きしめて
見つからない答え
「すみません。失礼します。」
さっと席を立ち背中を向けて一歩歩き出そうとした時、
「まてよ!お前自分を追い込み過ぎ!
もっと肩の力抜いて見ろ。」
「自分が着てみたい服、友達に着て欲しい服、その人自身になって考えるって大切だろ。」
そんな言葉さえ、素直に聞けない自分、
ただ、圭祐さんの事を考えない様にするには、仕事に必死になるしかなかったのに…。それさえも上手くいかない。

「私、仕事も中途半端、恋にも臆病。
ダメダメなの…。わからないどうしたらいいのか。」頬に涙が伝う。
震える肩にそっと触れて、後ろから彼は抱きしめた。
「中途半端なんかじゃないさ。ただ、今は、もがいているだけだ。大丈夫だ。
少しずつでいい前に進めるさ。」
「課長…。」
「今日は、帰りに一杯やってくかぁ?」
同期として話しきくから。」
頭をポンっとしてくれた永島。
私は静かに頷いた。


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