とけるほど、抱きしめて
絡まる心

圭祐さんがお店を閉めて、
スッと私の横に並ぶ。

「マキちゃん?寒くない?」
圭祐さんは、自分のマフラーを私に巻いてくれた。
「ありがとうございます。」
恥ずかしくて、下を向いてしまう。
圭祐さんの香り。

そっと私の手を引いて歩き出す。
「マキちゃん?俺、一目惚れしたみたいだ。君が隣に居てくれるだけで、
心臓バクバクで。
中学生かぁ!って自分の事ツッコミたくなる位だよ。」恥ずかしそうに微笑む。

「えっ?そんな…。私なんて。」

脇道から
歩道に自転車に乗った人が走ってきた。
「あっ!危ない‼︎」小道に向かって
グッと私の手を引いた、そのまま彼の胸の中に引き寄せられた。
圭祐さんと顔が近い…。
ふんわりと
頬に触れた手、私は瞼を閉じた。
唇に伝わる温度。
「マキちゃん…。好きだ。」
「圭祐…さん…。」

今度は角度を変えてついばむ様に口内に舌が入ってくる。

「あっ〜ふ〜」圭祐さんの潤んだ瞳。
「このままずっと抱きしめていたい。」
どんどん好きな気持ちが膨らんでゆく。

マンションまで送ってくれると言うのを
なんとか断り、駅で手を振った。

玄関までたどり着き鍵をかけた。

全身の力が抜け膝を抱えて座り込んだ。

ごめん。カナ。

ごめんなさい。カナ。
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