とけるほど、抱きしめて
カナsaid
圭祐さんのお店に通うようになって、沢山楽しい時間をすごせてる。LINEでも、
仕事の事や同僚の事色々相談にのって貰って、少しずつ距離も縮まってきたかも‼︎ 今度、一緒に買い物に行きたいと言ってみよう♥️「カナちゃん。」って呼ばれると凄く嬉しい。
今度会う時は、勇気を出して好きって伝えたい。
そんな幸せを打ち砕く事が目の前にあるなんて知りもせずに…。


「お疲れ様です。」
「カナさん、来週からのセールの準備も終わったし、飲みに行きません?」
ショップの後輩、祥子ちゃん。
結局、エリアマネージャーの葛西さんと
チーフの山木さんの4人で近くの居酒屋に行った。
これからの戦略やら仕事絡みの話しをしながら、それでも、砕けた話しをしたり
楽しい時間だった。


「じゃぁ!私こっちなんで。」
祥子ちゃんとマネージャーが北口の方に向かって歩きだした。
少し酔ったかなぁ?でも、身体熱いせいか、冷たい風が心地いい。
ふと、通りの小道を見た。

えっ?何で?
マキと圭祐さん…。
圭祐さんがマキを抱きしめている。
二人の陰が重なった。

嘘…。嘘…。

なんでマキが…。圭祐さんの事知ってて
私…本気で…。
ひどいよ。ひどいよ。

震える手を必死で押さえてその場に立ち尽くした。ゆっくり歩いてきた山木さんの靴音。

「松下⁇震えてる?」
山木さんがそっと缶コーヒーを私の手のひらに乗せて自分の手で包み込んだ。

そんな優しさに、涙が溢れて止まらない。

「松下、ちょと付き合え!」
山木さんは私を支えてビルの地下にあるBARに入った。
静かなBGMが流れる。

カウンターにすわり、
「マスター、カンパリーオレンジと
ソルティードッグ」

「松下、どうした?」
「何で泣いてたんだ?」
何も言えずにいた私の前に置かれた
カクテル。
綺麗な赤
光が当たるとオレンジがキラキラしていた。
一口含んだ。ふっと、一呼吸して沈黙破った。
さっき見た事、好きな人が居ることを。
涙が溢れてくる。
「松下、辛かったな、苦しかったな」
お前は、見た目に反して本当は、繊細で
傷つきやすいヤツだって俺は思ってる。
だからこそ、その友達が許せない?」
山木さんは、私の心がわかるの?
「結果がどうであれ、逃げないで、ちゃんと向き合ってみたらどうだ?
大切な友達なんだろ?。」

「向き合って、それでも辛くて苦しかったら、いつでも、話しを、聞くから。」
と私の頭を撫でた。
うん、頷くことしか出来なかった。
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