コンプレックスさえも愛されて。


「少なくとも俺、この間までは嫌われてないと思ってたんだけど、なんかここ最近避けられてる気がして…そしたら俺、やっぱこのままっていうの、我慢できなくなって………俺と、付き合ってくれないか?」
「え?」
「堂々と、って訳にはいかないけど……大事にする。っていうか、大事にさせて欲しい。頼む!」

いつも堂々としている彬さんが、私に向かって必死に言葉を紡いでくれる。
私は口許を押さえて息を呑んで、小さな声で、私も好きでした、と涙ながらに伝える。




「あー、沙耶香?……それはさ、過去形?」

私の様子を伺うような顔。
自分の言葉のあやまちに気付いた私は、泣きながらフルフルと頭を振る。



自分を落ち着かせる為に深呼吸をして、そっと彬さんを見上げる。
覚悟を決めて紡いだ、好きです、という言葉は、彬さんにきつく抱き締められて、心臓に向かって告げたみたいになった。




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