二度目の恋の、始め方
「凛、おっはよ~!」
「きょん。おはよ。……にしても、相変わらずセレブなご登校だね~」
学校まであと五分の距離を早足で歩いていると、歩道に横付けされた白のベンツから優雅に降りてきたのは友達のきょん。それなりに規模の大きい会社の社長の娘らしく毎朝の通勤手段はセレブリティ。とは言っても、英では珍しくもなんともない。
「凛、なんで今日マスク?それに目、腫れてない?」
「えっ……と、気のせいだよ」
きょんと二人で学校まで続く煉瓦調の歩道を歩いていると、マスクをした私をさすがに不審に思ったきょんが顔を近付けてくる。その迫力に思わず一歩、後退り。
「き……昨日、遅くまで勉強してて、あんまり眠れてないから……かな。はは……」
「ふーん」
「それに風邪気味で……ゴホゴホ」
ワザとらしく咳き込む私を見てまだ不審そうにしていたけど、そのまま種を返して再び歩き始めたきょんを小走りで追う。
せっかく出来た友達に余計な心配かけたくないから、きょんには雄大の事やお父さんの病気も何も話していない。このままバレずにやり過ごすつもりだったのに。
「理玖君に聞いたよ。凛、宮路君と付き合ってたんだね」
「……っ!」
「その顔も、宮路君が原因?」