二度目の恋の、始め方
「き、キスしちゃったの!?」
「シッ!きょん、声が大きいよ」
選抜を明日に控えたお昼休み。今日は天気が良くて裏庭でお弁当を食べようかときょんに誘われた。いつもお昼は理玖ちゃんにきょんを取られてばかりだから、こうして二人で食べるのは久しぶり。
嬉しいけどでも、一体どうしたんだろう。
「しかも部室でって……凛たちって意外と大胆なのね~」
「不可抗力だもん」
「雰囲気に流されちゃったわけね。まぁでも、あんな素敵な人に迫られたら誰でも、も~どうにでもしてぇ~て思っちゃうけど」
「…………」
何も言い返せずに、膝の上に置いたお弁当の卵焼きをお箸で摘んで、口に入れる。
「一度決めたなら最後まで嘘を突き通さないと、このままじゃ宮路君が可哀想だよ」
「そうだよね。でも、もう無理かなって。
嘘つくの疲れちゃって、この間だってこのまま流されても良いって思ったの……」
「…………凛」
鬱ぎ込む私の背中を優しく撫でてくれるきょん。泣きそうになるのは、今日の卵焼きが少しだけしょっぱいからだよね。