壊れた玩具は玩具箱に捨てられる
「…あはっ…」

大きな青の箱の前で座り込む少女。手には、玩具が握られていた。ままごとで使うような、『パイ』の玩具。パイの玩具を手にしたまま、少女は立ち上がって踵を返す。彼女の視線の先には、赤い玩具箱。一歩一歩、玩具箱へ歩みを進める。赤い玩具箱の前に着くと、狂気的な笑顔を浮かべてパイの玩具を箱の中に投げ付けた。ぐちゃり、と柔らかいものが潰れる音がした。

「…」

何かが足元に落ちてきた。視線を落とすと、血の付着した包帯があった。少女の顔は豹変する。目は見開かれ、歯を軋り合わす。乱暴に玩具箱の中から尖った物を出すと、何回もその包帯に降り下ろした。包帯はずたずたに引き裂かれ、尖った物を強く握り締めた際に切れた掌からの血で鮮血が滴り落ちていた。

「はぁっ…はぁっ…!お前はでしゃばり過ぎたのよっ…セルジオっ…」

セルジオ(SERGIO)、従者の意味を持つ言葉。従者としてこの世に生を受けた存在。ある者の従者にするためだけに彼女が作った存在…

あの聖母のようなセルジオは、この残虐な少女に生み出され、殺されたのであった。
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