触れない温もり
もう、そう言うしかなかった。

分からない事が多過ぎる。


「ほんとに情けない声ですねぇー」

見上げる少年の口元が楽しそうに笑う。


「うっせー、ほっとけ。
んで、なんで通報してないんだ?顔も見てただろ?」

「まあまあ、いろんな事情があるんですよー」

「事情って…
まあ通報しなかったのは俺的には助かってんだけど」

「ならいいじゃないですかー。特に言う気はないので安心してください」

「じゃあ安心するわ。
で、なんで追ってきたんだ?
あとやっぱり気になるから事情も話せ」

「なんでそんな命令口調なんですかー」

口元をぷーっと膨らませ不服そうに呟く

「まあまあ、んで?結局なんなんだよ。早く話せよ」

「…はぁ………」

そうため息をついたかと思うと、突然俯き、へらへらとしていた表情が曇る


「……今から言うこと信じますか?」


少年は深刻そうに呟いた。


「…ははっ、なんだ?もしかしてマゾか?イジメられたいとか?
だからわざわざ追いかけてきたのか?
それならほか当たれよ」

俺は、顔が曇ったのも無視して軽く冗談を言う。

「違いますよー。なに人を変態みたいに言ってるんですか」

少年はそういいながらふらっと、立てり、


「そうじゃなくてですね……」


顔をあげ、俺の顔を見据える。
暮れかけた太陽が少年を後ろから照らしだし、表情を曖昧にする。


「実は……」











「僕、幽霊なんです。」
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