キミだから・・・


そして、体育祭当日。



「位置について...よーい...」バァン!!



勢いよく走り出す人達。



クラスの応援席で応援している人達。



『借り物競争に出場する方は入場門にお集まりください』



というアナウンスが聞こえたので入場門に向かった。



どうか......簡単なものが当たりますように......



『位置について......よーい...』パァン!
という音とともに、みんなが一斉に走り出した。



走ってすぐの所にある、封筒を開けると、借りる物が書いてあるカードが入っている。



「えーっと......借りる物は............ 『幼なじみ』!?物じゃないじゃん!
物じゃないよっ」



そうこうしてるうちにもみんなは次々と借り物をしている。



「どーしよー......幼なじみなんて......」



いるけど、今、無理に決まってるじゃん!!!



「日愛......借り物なんだよ......」



突然、大地が声をかけてきた。



「えっ....と.........お、幼なじみだけど....」



すると、大地は無言で私の手を掴み、走り出した。



私は、大地の走るスピードに合わせるのがやっとで、他の事なんて考えてなかった。



大地が他の人を抜いてくれたおかげで、私は、1位でゴールすることができた。



「大地、ありが......」



大地は、ゴールした瞬間、私の手を離して私の声も聞かずに行ってしまった......



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