オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
誕生日は、いつも双子の華恋と母と祝う。

父は単身赴任中で家にはいない。

それでも毎年プレゼントだけは
送ってくれていて、
俺は感謝していた。

小さい頃から心臓が悪くて
迷惑も掛けっぱなしなのに
いつも優しくて頼りがいがあって。

母は父のそんなところに惚れたのだろうか?

そんなことを考えながら
部屋の明かりを付けると、机の上に
今年も小包が置いてあった。

父からだ。

箱を開けると、
『誕生日おめでとう』というメッセージと
腕時計が入っていた。

シルバーのごつい腕時計。

高校生が使うにしては
少し大人っぽいような気もするが
ありがたく受け取っておいた。

あとで電話でもしておこう。
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