オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
手紙を開いた。

「dear ちひろくん

突然、手紙書いちゃってごめんね。
でもどうしても
伝えておかなきゃって

いま、夜中の一時です。
手紙を書いたのは
私の気持ちを伝えるため。

うん、わたしね
初めて会った時から
ちひろくんのこと好きみたい。
いつも騒がしくしてごめんね?
でもあれはわたしを
アピールするためだったの。
そうでもしないと
印象に残らない
って思ったから。

そのせいで発作が起きても
私は後悔しない。
たとえ命を
落とすことになっても…
好きな人に印象を少しでも
残したくて。

だから、今日
女の人といたのは
めちゃくちゃショックで
落ち込んでたの、
たぶん気づいてないよね?
隠してたもん。

でもね、もういいの。
わたしより
幸せにしてくれそうだし。
ちょっとかわいいし。
葵さんに任せるよ。
葵さん、ちひろくんのこと
幸せにしてね。絶対よ。
じゃないと、幽霊になって
出てきちゃうから。

…なーんて、ね。
冗談だから安心して。

最後に、
二人に会えてよかった。

ばいばい。

      瑞穂より」

俺は手紙を読み終えると
ぽつりつぶやいた。

「…あほやなぁ。
命より大事な恋なんて
存在せえへんよ…。」

そして、ため息をつく。

「瑞穂…おおきにな。」

そう言って俺は
目を閉じた。
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