S.U.K.I
部屋を出ていくときの心兄の線の細い体を今でも思い出せるくらい。
「煌も秀も、元気になってよかった…。」
微かにそう、つぶやいて。
私は、しばらく扉を見ていた。
お風呂の温かい空気をまといながら、ぼんやりと考えていた。
なんで、心兄は、何も言わなかったんだろう。
心兄だって、あの海を覚えているハズ。
知っているハズなのに。
「煌〜、長いよ?早くあがんなさい。」
扉の向こうからお母さんの優しい声がした。