お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
住み慣れた前の家は、老朽化で取り壊し。

今は更地で、いつかお兄ちゃんが結婚したら、家がまた建つだろう。

いくら住み慣れた町でも、私が欲しいと思う程の愛着心はない為、お兄ちゃんに聞いてはなく、あくまでも私の勘だけどね。

制服から、濃いグレーのスエットの上下に着替えてお昼ご飯の準備。

…何にしようかなー……。

お腹は空いてるけど、久しぶりに早起きしたからか、眠いんだよね。



「ふぁぁぁー……っ」



欠伸をしながら、とりあえず冷蔵庫にあったチルドパックのハンバーグを湯煎しようと、小鍋でお湯を沸かす。

後はサラダを用意して、ワンプレートランチにすれば良い。

大きめのお皿を出して、ご飯を盛って、サラダを――…!?

--ガン……ッ



「――っつ!!;;あぁ、もうっ!!」



ボーッとしてたわけではない。

なのに、いつもならしないドジ。

誤って、鍋の取っ手にお皿を持った手をぶつけてしまった。

勢いよく舞ったお湯は、私の胸元から腹部に直撃した。

熱さで痛むが、とりあえずタオルで床を拭き、お風呂へ。

真冬に冷水シャワーを浴びて、服の上から熱を冷ます。

だが、ヒリヒリとした痛みが止まない。



「もう……っ!」



スエットを脱ぎ、薄手の長袖シャツに着替える。

濡らしたタオルで、火傷の酷いお腹に宛がいながらスマホを取りに、リビングへと行く。

スクールバックからスマホを出し、発着信履歴から慎君に電話。

お兄ちゃんは、忙しいだろうから。
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