さかさまさか
現実
まず、返してもらわなきゃ。
お父さんの会社に行くことにきめた。
新宿の雑居ビルの一室。
二階、【LOVEとエロス】と書いてあった。

受付には、髪毛バサバサの茶髪のバブルの残り香のする女の人がいた。

『社長いますか?』
面接ですか?
『いぇー。』
お店の子
『娘です。』
えっ!とバブルが驚く。
5人の社員たちも氷つく。
『捨てられた。娘』
今、呼びます。
鉄扉の奥から、『よっ』と手を上げた、お父さんが出て来た。
『お金返して』
『まぁ、入れ』
『いくら、借りたかな。』
『30万円』
『そんなけか?』
『ママの分は知らないし。』
『100万ある』
『いらないよ。30万だけ』
『利子だ。』
私は、帯封を外して30万だけ数えて、持って来ていた100均で買った黒のメッシュのポーチにいれた。

『さようなら』
『飯食わないか?』
その人は、ポロポロ泣き出した。
『なんで』
『すまない』
『わかった』
『何がいい?』
『銀座のお寿司』
『おぅ!』
思いっきり、食ってやると心にきめた。
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