クールな先輩の心を奪う方法
聖に取られてしまう前に。美雨を自分のモノにしたい。
日に日に思いは募っていく。

しかし、この想いをどうやって告げたらいいのか。
毎日怒ってばかりいる相手だ。

告白したところで、本気にしないかもしれない。
それどころか、その告白自体、けむたがれるかもしれない。

・・・そんな矢先、彼女の想いを知ってしまう事に。

『保田さんを落として見せる』

最初は何の冗談かと思った。
しかし、野良猫相手に、真剣な顔で、訴えているのが分かり、それが本気だと分かった。

嬉しさが募る一方、それとは全く真逆な言葉を、美雨に言ってしまっていた。

告白されて付き合った事はあっても、自分から告白して付き合った事など、今まで一度も経験がなかった。
会社にいても、気が付けば、向こうから言い寄ってきた。

だから、自分から告白しようなんて思った事などなかった。
…いや、本気でそんな事を思う相手に、出会わなかった。


それがやっと目の前に現れたと言うのに、いざとなると、告白が出来ない。
女子社員達の勇気に、感動さえ覚えてしまう。

告白がどれだけ勇気がいって、どれだけの覚悟がいるのか、この歳になって初めて知ることになるとは、情けない。

『好き』の言葉は言えなくても、何とか美雨を自分の元に置いておきたい。

そんな時、母親が持ち出した見合い。
これほど都合の良い事はないと思い、そんな行動に出るも、美雨は、とても悲しげな顔をして俺を見つめた。

美雨は、俺の口から、好きだと言ってもらいたいと思う。
俺自身も、好きだと言いたい。

それなのに、その言葉を、もう何度も言いそびれてしまっていた。

美雨が、自分から離れてしまう前に、この気持ちを、彼女に伝えなければと、毎日焦るばかりだった。
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