クールな先輩の心を奪う方法
「もう、何なのよ」
と思ったが、10分後ですって?!
これを届ける先は、30階・・・早くしないと、保田さんが来てしまう。

私は慌てて会社の中に入っていった。

「これ、水木より預かってきたロムです、宜しくお願いします」
「わかりました、確かにお預かりしました」

一仕事終え、ホッと胸を撫で下ろす。
そして、また一階へ行く為エレベーターに乗る。

…あれから8分。保田さんの車は。

「…早!…もういる」
私は小走りに保田さんの車の下へ。


「遅い」
「何言ってるんですか?まだ10分経ってませんよ」
保田さんの言葉に反論すると、保田さんは可笑しそうにクスクスと笑った。

…きっとからかわれたんだ。
ボッと、顔が熱くなる。

「家まで送る・・・」
「エ、いえ、そこまでは」

慌てて断ろうとしたが、保田さんに強引に車に乗せられてしまった。

「保田さんて、強引ですね。…なんだか見た目と違います」
「・・・嫌いになった?」

「まさか!そんな事ありません!強引な人は嫌いじゃありませんから」
そう言って窓に視線を移した。

…だって、保田さんの顔が見られない。

「俺も佐々木の事好きだよ・・・
天然で、鈍感で、お人好しで・・・」

「全然、褒めてませんよね、それ」
そう言って保田さんをキッと、睨むが、それは一瞬の出来事で。

…だって、私を見る目が、あまりに優しくて・・・。
< 37 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop