クールな先輩の心を奪う方法
「え、い、いいですよ。電車で一駅ですし。一人で」
「俺もその先のF社に用事がある。ついでだ」

「…いいんですか?」
「さっさとしないと置いて行くぞ」

「あ!待ってください、保田さん」

自分のデスクから封筒を取ると、サッサとオフィスを出ていく。
私は慌てて消灯し、保田さんを追いかけた。

…優しいのか、強引なのか…保田さんはとっても不思議な人だ。
そんな所に魅かれたんだけど。

駐車場に停めてある保田さんの車の助手席に乗せてもらう。

「カッコいい車ですね。車には詳しくないですけど、私が見てもそう思います」
「・・・ありがと」


「保田さんて、まさか、この助手席に彼女とか乗せてるんじゃないですか?」
私の言葉が終わると同時に、信号が赤で止まった。

保田さんは私の方を少し睨んでみた。
私は思わず息を呑む。・・・怖すぎて。

…私変なこと言った?

「俺に今、彼女がいると?」
「…安田さんカッコいいですし・・・彼女の一人や二人いるのかなって」

「…佐々木に、キスしたのに、彼女がいると?」
「…いないんですか?」

「いたらあんなことするか…バカ」
「・・・・」

信号が青に変わり、また車は進み始めた。

…なんだか、険悪なムードになり、車内はとても静かだった。

「…着いたぞ」
「ありがとうございました、助かりました」

「ここに10分後に迎えに来る」
「・・・え?!」

・・・行ってしまった。
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