クールな先輩の心を奪う方法
…私が眠る布団が、モソモソっと動き、目が覚めるも、怠さはまだ抜けておらず、熱もあるようで、再び目を閉じた。

「…佐々木」
「…ん」

優しい声でゆっくり目を開けた。
そこには、ワイシャツの袖を捲り上げて、手にはお盆。その上に、小さな鍋と、れんげを持った聖がいた。

「…安藤さん、ずっといてくれたんですか?」
私のおでこには、濡れタオルも置いてある。

「あれだけ唸ってたら、心配で帰れるわけないだろ?」
「…すみません。送ってもらった上に、看病までさせてしまって」

「…いいよ、好きで勝手に看病してたから、気にすんな。それに…」
「…?」

「好きな奴が、大変な思いしてるのは、みてなれない」

…。
なんか、さらっと、告白された気がするんだけど。

「…そんな驚いた顔すんなよ。
今のは聞き流してくれていい。…佐々木って、鈍感過ぎるから、全然気づけねえんだもん。周りは皆知ってるってのに」

そう言って苦笑いした聖。
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