クールな先輩の心を奪う方法
「手、握っててやるから、終わるまで寝てろ」
「…保田さんは、帰らないと」

「俺が連れて来たのに、どうやって帰るつもりだ?
点滴が終わるころには、終電も終わってる」

「タクシーがあるじゃないですか?」
「・・・」
ムッとした顔で、美雨と見ると・・・
美雨は少しシュンとして、小さな声で呟いた。


「送ってください」
「ん。…素直にそう言えばいい。もっと甘えろよ。
意地張ってても、いい事なんてないぞ」

俺の言葉に、小さく頷いた。
・・・しばらくすると、美雨は目を閉じ、眠りにつく。

静かに寝息を立ててる美雨の髪をそっと撫でる。

…おっとりしてるかと思えば実は意地っ張りだった。
…注射が嫌いで、点滴なんて大っ嫌い。

知らない美雨を知る度、幸せな気持ちが増していく。
もっと、もっと、美雨の事が知りたい。

今度はどんな美雨にであえるのかと思うと、ワクワクしてしまう。

…それから2時間後。
点滴も終わり、薬を貰うと美雨の家に帰る。

点滴のおかげか、少しばかり元気になった気がした。

帰り際、医師に言われた。
『過労から来る風邪みたいです・・・
あまり無理をさせないように・・・今週は、仕事はお休みさせた方がいいと思います』

・・・過労。
その診断は正しいだろう。
何時も無理をして、仕事を自分で増やしてるんだから。
疲れがたまるのも、無理はない。


「美雨」
「…なんですか?」

「今夜からしばらくお前んちに泊まるから」
「は?!」
俺の突然の提案に、美雨は驚きを隠せない。
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