クールな先輩の心を奪う方法
美雨の家に着くなり、車を飛び出し、玄関へ。
一応チャイムを鳴らし、ドアを開けた。

「…美雨?」
「…保田さん」
玄関先で、パジャマ姿の美雨がしゃがみこんで、こちらを見た。

・・・その顔は真っ赤で、息遣いも荒い。
美雨の額に手を当てると、凄く熱かった。

「美雨、ゴメン、俺がカギ開けておいてなんて言ったから。
具合悪くて、動けなかったんだろ?」

「・・・」
困ったように笑った美雨。
俺は、すぐさま美雨を抱きかかえた。

「保田さん、自分で」
「無理なくせに、意地張るな」

「・・・ごめんなさい」
「病院は?」

「市販のお薬飲んでますから」
「こんなに熱があるのに、病院くらい行けよ。
今から連れて行く…鞄は?」

「…病院はイヤです」
「・・・は?」

「注射・・・キライなんですよ」
「・・・・」

子供みたいな発言をした美雨に一瞬驚き、プッと吹き出す。

「笑わないでください」
美雨は、少し怒った顔をした。

「子供みたいな事を言うからだ。
・・・まぁ、昨日から熱が続いてんなら、点滴されるだろうけど」

「?!・・・点滴はもっと嫌です」
「バカ・・・冗談だよ」

…と言い、病院に半ば強引に連れて行く。

…冗談のつもりが、本当に点滴をする羽目に。

「…冗談って言ったのに」
そう言って美雨は半べそをかく始末。
・・・そんな美雨を、俺は可笑しそうに見つめていた。
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