クールな先輩の心を奪う方法
「当たり前だろ?」
そう言いながら、美雨の家に上がる。
やや強引ではあるが、別にただの先輩後輩の関係じゃなく、俺達はれっきとした恋人なのだから、悪い事はしていない。

カバンを置いた俺が一番にした事は。
「・・・ん、熱、たいぶ下がったな」

そう言って微笑む。

「はい・・・昨日、保田さんが病院に連れて行ってくれたおかげで」
そう言ってはにかむ美雨。

…やっと、素直に俺に笑顔を見せてくれる美雨に、嬉しさがこみ上げる。

「ちょっと台所借りるぞ」
「…ぇ?!・・・もしかして、ご飯、ですか?」

「熱も下がれば、食欲も出てくるだろ?ちゃんと食べて、早く元気にならないとな」
「わ、私がします」

美雨は慌てて俺の前に回り込む。

「…病人に、そんなことさせない」
そう言って少し怒った顔をしてみれば。

「・・・でも」
困ったように美雨が呟く。

「こういう時はどうするんだったっけ?」
「…素直に、甘える」

「よろしい」
そう言ってニコッと微笑む。
すると、美雨も観念したように溜息をつく。

「料理、出来るんですか?」
「一人暮らしを舐めんなよ」

「・・・ふふ、期待してます」
そう言って美雨はソファーの方に下がっていった。


元気になりそうな料理を作っていく。
そんな時、突然のインターホンの音。

「俺が出る・・・」
そう言い、美雨を制し、玄関に向かうとドアを開けた。
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