Treasure
刹那のことを好きな子は、こう思うだろう。



”学級委員になれば、もしかしたら毎日喋れるかもしれない”


”もしかしたら、付き合うってこともありえるかもしれない”




だけど所詮、絵空事。

白いキャンパスに、白い絵の具で絵を描いたって、何も見えない。
黒い夜空に、黒い光が放っても、何も変わらない。

自分が描いた、光が放ったと、ただの自己満足で終わるだけなんだ。
相手が自分を見ないと、意味はないんだ。



自分がただ好きだと言っても、相手がそうでないと、言っただけで終わる。


”勇気を出しただけでも”

”言えたんだから”


それで終わる。


あたしはその辛さを…経験している。


だからこそ…だからこそあたしは、男を信用しない。
誰もあたしは…好きにならない。

そう思っていたけど、好きになってしまったんだ。
あの人を―――


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