Treasure
目の前の鬼が怖いため、しぶしぶ鞄からノートと筆箱を取り出す。


うちの学校は、図書室だろうと職員室に行くだろうと、”鞄は教室に置いて行く”という校則がある。
例え寄った後に帰るとしてもだ。
何か、鞄が何個残っているかで、下校時間を変えるらしい。

絶対こんなの、いらんと思うねんけど。
つーかそもそも、いちいち下校時間変えるって、絶対おかしいと思うし。



「じゃぁ行って来ますよ…」


用意が出来たあたしは、文句いっぱいありますよ、とすぐに分かるような声で、綾女に話しかけた。


「おし、行ってこい!」

「先帰っといて! ごめんな」

「はいはい、行ってらー!」


綾女に送り出してもらい、刹那に駆け寄る。

明らかに不機嫌な顔してますや~ん。
あたしが悪いわけじゃない!
いや、あたしが悪いんだけど…
あたしは悪くない!

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