ある暇な日
渋谷方面に明治通りを一人で歩いていると、もう昼ごろだからか、人が増えている事に気づき、やたらオシャレな若者を見て、平日の昼間っから何してんだこいつらはと思ったが、すぐに俺の方が用もなく一人で何してんだろうと考え、俺の方がダメじゃんと結論づいたところで、ガードレールに座って煙草に火を点けた。これからどーすっかなーと思っているところに、「何してんの?シオくん」とOLの格好したねーちゃんが声をかけてきたので、逆ナンにしてはなんで俺の名前知ってんのかなと、変な事を考えながらそっちを見ると、大学の同級生だった。僕は昔から名前のど忘れが激しく、あせるともっと思い出せない病になってしまい、まさにそれがその時だった。とりあえず名前が思い出せないだけで、その子の事は覚えていたので「あー?暇してんだよ、そっちは何?逆ナン?センスないね」と適当に様子を見てみたら、全然受けずに、「あー?センスがねーのは、てめーの服装とベシャリだろーが、カスジャップ」といわれてしまった、僕は泣きそうな声で「すいません、ほんとに暇してます、おねーさんは今何をしてらっしゃるんですか」と久々に敬語らしきものを使ったので、カミカミでださださだった。そのおねーさんは「ちっ」と舌打ちして、素早く煙草に火を点けた。ライターは高そうなキーーンと高い音がするやつで、名前は忘れた、吸ってる煙草はセブンスターだった。僕はビビリながらも、吸ってるものがマリファナじゃなくてちょっとだけ安心した。そのおねーさんは外人のモデルみたいに、ずっと上の方から僕のことを睨んでいた。あまりにもかっこよかったので僕は携帯をとりだして写メをとろうとしたら、ふくらはぎを蹴られた。
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