麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
見れば、廊下の前方から駆けてくる娘の姿がある。
あちこち跳ねた癖のある長い茶髪を一本に結い上げた、大きな緑の瞳の娘だ。
歳はセレイアと同じくらいか、少々年上だろうか。
両手いっぱいに書類を抱えているからか、足取りがどうも危なっかしい。
その娘を見た瞬間、セレイアはどうしたことか顔面真っ青になった。
「フ、フリムヴェーラ! 走っちゃ、走っちゃだめぇぇっ!!」
先程までの姫巫女の威厳もどこへやら、セレイアは青い顔のままあたふたと娘に駆け寄り、がっしと肩をつかんで娘の動きを止める。
「大丈夫ですよぅ、そんな大げさなぁ」
「大げさじゃない! あれほど走っちゃだめだって言ってるのに、フリムはもうっ!」
「どうして走っちゃだめなんだ?」
ディセルがきょとんとした瞳を向けると、セレイアがまるで自分のことのように幸せそうにフリムヴェーラのおなかを撫でた。
「おなかに、赤ちゃんがいるのよ」
おなかに赤ちゃんがいるかどうかよりも、セレイアの聞かせたはかりしれないほどの優しい声に、ディセルは興味を持った。
「紹介するわね。彼女はフリムヴェーラ。私より二歳年上で、今は緑巫女をやっているわ。私の…親友と呼べる存在かな。こんなに若くてかわいいのに、もう既婚で、一人目の赤ちゃんがおなかにいるから、もうそろそろ産休に入るのよ」
あちこち跳ねた癖のある長い茶髪を一本に結い上げた、大きな緑の瞳の娘だ。
歳はセレイアと同じくらいか、少々年上だろうか。
両手いっぱいに書類を抱えているからか、足取りがどうも危なっかしい。
その娘を見た瞬間、セレイアはどうしたことか顔面真っ青になった。
「フ、フリムヴェーラ! 走っちゃ、走っちゃだめぇぇっ!!」
先程までの姫巫女の威厳もどこへやら、セレイアは青い顔のままあたふたと娘に駆け寄り、がっしと肩をつかんで娘の動きを止める。
「大丈夫ですよぅ、そんな大げさなぁ」
「大げさじゃない! あれほど走っちゃだめだって言ってるのに、フリムはもうっ!」
「どうして走っちゃだめなんだ?」
ディセルがきょとんとした瞳を向けると、セレイアがまるで自分のことのように幸せそうにフリムヴェーラのおなかを撫でた。
「おなかに、赤ちゃんがいるのよ」
おなかに赤ちゃんがいるかどうかよりも、セレイアの聞かせたはかりしれないほどの優しい声に、ディセルは興味を持った。
「紹介するわね。彼女はフリムヴェーラ。私より二歳年上で、今は緑巫女をやっているわ。私の…親友と呼べる存在かな。こんなに若くてかわいいのに、もう既婚で、一人目の赤ちゃんがおなかにいるから、もうそろそろ産休に入るのよ」