彼氏より好きな人
その頃


やっぱり山野君の人気度は男女問わずすごかった。


かっこいい人は違うね。


でも私には関係ないし。


あんな冷たい人のどこがいいのやら。


性格知ったら絶対女子は引くよ??


なんか、話しかけるなオーラ出してるし


怖いし。


「とーった」


だけど私にはこの頃、仲のいい男子が出来た。


「お前なぁ…」


「私のもとれば??」


私は意地悪するように言う。


「俺が触ったらいけねーだろ」


名札の取り合い。


それは、胸ポケットに付けているもの。


この時なぜか私の中でいろんな人の名札を取るのが好きになっていた。


私がいま手にしている名札。


新垣と、書いてある。


そう、私と最近仲がいいのは新垣 秋。


「あっ、授業始まる」


「っておい!!俺の名札!!」


誰が返すもんか。


気に入った。


この名前。


次の授業は担任の先生の教科だった。


げ、どうしよ。


あいつの名札持ったまま。


担任の先生は風紀にすごく厳しい人だった。


私が名札持ってるってバレたら絶対変なふうに思われる。


そしてやっぱり先生は


「新垣君名札」


と言った。


ドキドキが止まらない私。


やっぱり私が持ってるっていうよね…


「いや、」


あいつの声が聞こえる。


私の名前出す…


「…家に忘れました」


え…??


「そう、明日はちゃんと持ってきなさい」


「うっす」


嘘…


私の事、庇ってくれたの??


「…」


私はあいつのほうを見る。


あいつは私の4つ後ろの二つ右の席。


目が合う。


あいつはにこっと私に向けて笑った。


「…」


いい人…だな


って、思った。


山野君と正反対。


それからというもの名札取り以外で話をしたり、


そうしていく内に、


私の気になる人が、あいつになっていた。


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