WHY
~ささえ…~
その相手は”ユメト”だった。




 あれから かれこれ2週間以上たっていた。




 懐かしいのと、今の心境を考えたら、つい抱きついてしまったのだ。





 「どうしてここがわかったの?」




 「いやぁ~あれから、ベルがならなくて、心配になってつい、一緒にいた圭太くんから

  話をしたら、今はこういう状況だって聞いたから…」




 事実、私とだけでなく、圭太のベルも知っていたというので、圭太に感謝をしないと。




 「ごめん…こんな状況だったから…忘れたわけじゃなくて、そんな気持ちになれなくて。」




 「わかるよ、大丈夫。俺だって同じ状況だったらそうしていたから、大丈夫。」


 彼の優しい声と、どことなく低音で響き渡る声が心を温める。

 


 「ごめん、シャツをこんなにびしょびしょにしちゃって…。」



 「大丈夫だよ、洗濯すれば。それより、君の心の傷は拭えないからね。」

 「ありがとう。」

 


 こういうときに、近くにいてくれる人は今までなかった。



 力になってくれる人はいなかった。




 初めてのことで、淡い気持ちになったのは正直な気持ち。




 包み込まれる安堵感と、相手に寄り添う心地よさを感じる瞬間、

 自分はときめいていた。




 もしかしたら、これが最後の鈴木からのプレゼントだったのかもしれない。







 事実違うにしても、こんなときに引き合わせてくれた、鈴木に大きな感謝と

 鈴木の分まで強く生きなければという思いはふつふつとよみがえって来た。




 鈴木のお骨を乗せた方向、自宅の方をいつまでも私は彼の胸の中から

 見つめていた。

 


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