WHY
 今年も、桜井、鹿子木の2名が途中で辛い表情と、いわれもない目で私を見ている。優しい言葉をかけるが、実際にやるのは自分達と思い、最後の最後までやらせた。

 この2名はかなりの根性はあり、根性だけで生きている二人だったので、とても自分は可愛がった…が、この2名にも”あいつ”の手が差し伸ばされた今回の合宿だった。

 のぼりきった階段の先には”あいつ”がいる…上から仁王立ちで居座る。鬼の形相とはこのことで、全員が出来なければ私がつめられる。まっそんなんは別に流せばいいことなのだが、他のメンバーに関しても同様に罵声を浴び、ものを投げてくる。これはたまった物ではない、本当に…怪我をすれば、精神的に病む人も出てくる。学校の部活動としては、宗教感覚に陥る。強い学校とはもっとなのか、それとも生徒の自主性を重んじて、自らのアイデンティティをもたせるのか、どちらにしても強いとは、鎖なのか1個の固体なのかであると自分は思う。




 数が多ければそれこそ、横とか連携とが強くなければ全体に影響をする。少なければ、一人一人の個々の能力を飛躍的に伸ばさなければ駄目だ。私はどちらでもいいが、全て楽しく、やりがいを感じる中身にしたい、そればっかりを追い求めて、結果を求めていない事に関して、常々詰め寄られていたが、自分はその過程の先に結果はあると信じている。今は…
これが、プロでない限り、今のしている目一杯な事をどこまでのばせられるかの時期ではないかと本気で思う



 そんなことを心にしまいながら、夕方までの走りだけの練習は終了した…
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