まっしろな遺書
 2015年7月30日


 今日、十三は病院を出る。

 十三は、けじめをつけるため自称美穂を屋上に呼び出す。
 少し暑い。

「十三、退院するとか私聞いてないよ?」

「うん。
 もう決めたんだ」

「どうして?」

「入院しなくても死なないからさ」

「……え?」

「もうすべてわかったんだ」

「……そう」

 自称美穂は、悲しげな表情をする。

「まぁ、そんな訳でだからさ。
 結婚して欲しいなーとか思っていたりもする」

「え?」

「君のことが好きなんだ」

 自称美穂は、目に涙を浮かべる。
 ダメ元でのロマンチックのかけらもない告白というかプロポーズ。
 了承してくれる可能性なんてほぼゼロだろう。

「でも、私はお姉ちゃんじゃない……
 もう、わかっているんだよね?」

「うん」

「俺は……
 美穂じゃない。
 杉山 志穂さんのことが好きなんだ」

「私の名前……」

「うん」

「でも、私は……」

「俺はさ、入院してからずっと俺を励まし続けてきてくれた志穂さんに惚れたんだ」

「私に、そんな資格ない……」

「そんなの関係ないよ」

「でも……」

「だから、志穂さんさえよければ、結婚してください!
 そして、俺と一緒にたこ焼き作ってください!」

 十三は頭を下げた。

「寝るときは、私と一緒だよ?」

「うん」

「ご飯上手に作れなくてもきちんと食べてくれる?」

「うん」

「私が、おばさんになっても愛してくれる?」

「うん」

「私より早く死なない?」

「うん」

「十三、顔を上げて」

 志穂は、そういって十三の肩に手をたたく。
 十三が、顔を上げるとすぐに志穂は十三の唇にキスをした。

 そして志穂は、ニッコリと笑った。

「不束者ですが、よろしくお願いします」

 それが、志穂の答えだった。
 十三と志穂の物語は、ここで終わる。
 そして十三たちの物語が、ここから始まる。

 そうふたりの物語が……


 ―おわり―
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