AveniR-アヴニール-
金持ちの女が作ったお菓子なんて

俺が普段食べている料理と比べたら、

味は劣(オト)るに決まっている。

「気持ち悪…。」

そうつぶやいた後、

俺はクッキーが入った小包を

グシャリと握(ニギ)りつぶして、

そのままゴミ箱に捨てた。


そう、俺はイデアルシアの人間。

生きることに選ばれた存在。

デトリみたいなカスどもとは比べ物にならない。

選ばれた人間は何をやっても許される。

だけど、この時の俺は分かっていなかった。

この国の本当の恐ろしさを。

崩壊のカウントダウンが近づいている事を…。
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