手紙-あなたへ。-
現在-弐-
目が覚めると
病院のベッドの上だった。

右腕を見ると
案の定点滴を打たれている。

また死ななかった。

死にたいとは思わない。

思わないけれど
死ぬ一歩手前まで行ったら
要は私を迎えに
来てくれるのか…?

それを試したいのに。

なかなか会えない。

要の姿なんて
どこにも見当たらない。


「麗奈!!」


左に振り返ると弘毅がいた。

弘毅の膝の上に怜もいる。

二人の後ろから朝の光りが
差し込んできていた。


「…弘毅…なんで…?」


酒焼けして思うように
声が出せない。

大阪にいるはずの弘毅が
私の横にいる。


「晴久から電話あってん。
麗奈が急性アル中で
病院担ぎこまれたて…
お前意識なかってんぞ?
死ぬ所やったて」


険しい顔で弘毅は言った。

ぼ-っとする意識のまま
私は弘毅の話を
聞いていた。

どんな状況か分からない
可愛い怜は
死人のような私を見て
嬉しそうに笑っている。


「おかあさんは…?」


掠れる声で聞いた。

母は仕事を休めず
さっき仕事へ行ったらしい。
< 12 / 37 >

この作品をシェア

pagetop