負け犬の遠吠え
―中3・冬―

 私はいつものように呑気に教室にいる陽平に声をかけた。

「ねえ、陽平今日時間ある?」
「…何で?」

 何か、とてもメンドクサイと言われているような言い方だった。

「な、なんでもいいじゃん!」
「お前って昔からそればっかだな…早くその癖、直した方がいいんじゃないのか?」
「…は?」

 こいつは何を言っているのだろうか?

「俺はお前みたいに暇じゃないの、だから用がない時はもう話し掛けるな」
「な、何よ!そのものいい!!」
「うるっせーなぁ…」
「んー……!!!」

 私は過去最高にムカついた。

「じゃあ、クリスマスの予定、空けといて!!分かったわね!!」
「何で?」
「何でも!!」

 私はもう怒って教室を出て行った。
 全く陽平の奴、あんなに鈍感だったろうか?
 ありえない!
 人の好意を一体何だと思ってるのか!
 信じらんない!!

 なんて事を考えている間に、私より早く行動を起こしていた女の子をその時の私はまだ知らなかった。
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