本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「おはよ~」
「おはよう。」
2人の笑顔でほんの少しだけ緊張がほぐれた。
3人で冬休みの事を話していたが、私の場合本当の事は言えず何もない冬休みだと説明した。
実際は楽しかったのはクリスマスまで。それ以降は散々たるものだった。
何も手がつかず小牧君からの連絡を待つだけの日々。
こんなにも小牧くんのことで頭がいっぱいになるなんて思わなかった。
「ーーんな……杏奈?」
陽菜に何度か名前を呼ばれハッとした。
「な、何?」
「さっきから何ぼーっとしてるの?」
不思議そうに尋ねる陽菜に私は適当にごまかした。

すると小牧君の所に城田さんがやって来た。
「小牧く~ん。おはよっ」
城田さんの声に小牧君がぱっと顔を上げ微笑んだ。
え?・・・なに?
なんで城田さんにそんな笑顔を向けるの?
教室に入ってから、一度も私の方を見なかった小牧君が城田さんにだけ視線を向け微笑んだのが凄くショックだった。

私はそこまで小牧君に酷い事した?
連絡が遅くなった事がそんなに許せないことだったのかな?
こんなことで2人の関係が脆く崩れるものだったのかな?
心配かけたくなくてついた嘘が全て裏目に出ていたのかな・・・
でもあの二人すごくお似合いだ。
私なんかといるより……そう思ったらだんだん目頭が熱くなってきた。
でもこんなとこで泣いたらだめ。
私は唇をぐっと噛みしめ涙を堪えたその時だった
教室のドアがガラッと開いた。
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