本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
俺は慌てて城田の行動を止めようとするが無視するかのようにブラウスのボタンを全て外し、脱いだ。
「私だったら……小牧君にこんな辛い思いはさせないよ」
いきなりの展開についていけずイスに座ったまま固まってしまう。
すると城田は机から降りて、その机を足で蹴って俺の膝の上にまたがった。
「お、おい!し、城田?何考えてんだよ。やめろって」
必死に拒む俺に向けて微笑む。
「もう?女にここまでさせて恥かかせないでよ」
髪の毛をかきあげるとそのまま顔が近付いた。
「・・んんっ」
気がつけば城田にキスされていた。
びっくりしてとっさに城田を突き飛ばしてしまった。でも唇は微かだが触れてしまった。
「こ、小牧君!!ちょっと何すんのよ」
何すんの?それはこっちの台詞だ。
いきなりこんなことされていい迷惑だ。

俺は立ち上がると床に落ちたブラウスとジャケットを拾い城田に渡した。
「城田には悪いけど、俺には杏奈しかいないから」
視線を床に向けながら唇をかみしめる。
「ばっかみたい。あの子の何がいいのよ。ってか小牧君って女見る目ないよね。ダサ?。100年の恋も冷めちゃったわ」
城田はフン!といいながらジャケットとブラウスを奪う様に取ると俺を睨みつけた。
「お前に杏奈の良さをわかってもらおうなんて思ってないよ」
俺の心の中はもうぐちゃぐちゃだった。
杏奈の良さを俺以外に知っているつっちー。
そのつっちーと仲良く話している杏奈・・・

そしてあんな光景を見てしまったのに俺はそれでも
杏奈が好きで好きでどうしようもないって事に気付いた事だった。

城田は怒りを露わにしたまま帰って行った。
だが・・・杏奈の机の上のカバンは未だにそのままで俺は彼女と顔を合わすのが辛く逃げるように帰った。
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