本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
お姫様だっこした小牧君は私を寝室のベッドまで運んだ。
「こ、これって」
他に聞きたいことはあるが、緊張のあまりうまく言葉が出てこない。
「見てのまんま俺の寝室だけど。今日からは杏奈の寝室でもあるよ」
「え?わ、私の?」
もうわけがわからない。
でも小牧君はいたって真面目な顔だ。
「だって10年分を取り返すなら片時も離したくないからね」
小牧君って本当に変わってない。真顔で恥ずかしいこと平気で言うんだもん。
でもそこに惹かれたりしたんだっけ。
私を物語の主人公にしてくれるただ一人の人だった。
「じゃあ、二度と私を離さないでね」
私が今言える最大の甘い言葉だった
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