結婚しても恋愛中だもん
出来る女の意地悪
「みんな、聞いてくれ。
本日から、しばらくの間合同で
プロジェクトを立ち上げる。
応援要員の
「倉本サツキです。
よろしくお願いします。」

「じゃ、夏川、後頼んだ。」
「はい」
「夏!よろしく。」

「倉本さん、よろしく」

「何?サツキでいいよ。」

「ただの同僚だろ。」

「まぁ、いいわ。」

それから、二人で取り引き先を周る事が
増えて、社に居る時間が少なくなっていた。

私は、頼まれていた新商品のカタログ
を各取り引き先毎にまとめる仕事をしていた。

「夏川さん?あなた夏の奥さんなんだって?」
「は、い」
「夏川彩です。」
「へぇ〜。夏ってこんな感じがすきなんだ。」

「随分、お子様な感じ?」
「夏って、大人の女が好みだった
はずだけど、人ってそんな簡単に
好み変わるのかなぁ?」
意地悪な微笑み。
「私が知ってる夏は、女子社員、
特に、綺麗系に人気あってね。
夏、いっつもいい女を横に連れて歩く姿しか想像出来ないんだけど。」

「あなた見たいにお子様な女がねぇ〜⁇
何か違うわ‼︎」
「もしかして、騙して結婚に持ってた⁇
あはは‼︎受けるんだけど。」


震える身体を必死で抑えて
「失礼します。」
涙を、堪えて
給湯室に走り込んだ。


ぽた、ぽた…。涙が溢れてくる

やっぱり、不釣り合い…。


「よっ!彩。お前…。どうした⁇」
「うっ、うぇ〜ん。」

杉本くんがふわっと、私を抱きしめた。

「泣くなよ。そんな顔するな。」
「すぎ…もと?くん?…。」
「ちょとこっち」

手を引かれ屋上に上がった。
「彩…。お前幸せなのかぁ??
いっつも泣いていて、見てらんねぇよ」

「ごめん。少し、いろいろあって。」
「大人になれないんだね。」

「何か辛い事、有るなら話しきくから
一人で、泣くなよ。」
悲しそうな顔をして私の頭を撫でた。

「あら?新妻が不倫??夏が可哀想ね」
あなた、
夏を騙して結婚したんでしょ‼︎」


「違います。そんな事しない!杉本くんには、ただ話し聞いてもらってた
だけです‼︎」

バンっと扉を開けて、階段を駆け下りた


廊下を走り、
自分のデスクに座った。

何してたのかさえ、解らないくらい
ぼーっとして
「お先に失礼します。」

急いで会社を出た。


何もする気になれず、部屋の灯りさえ
付けることを忘れ、ソファーで
小さくなって横になった。

いつの間か眠っていたようで
「寒い…。」
なんだか怠い。
ベットに転がってそのまま意識を無くした。

「あや…。あや…。」
「あっ、勇くん…。」
「ご飯は?」
「ごめんね。作ってない。」
「勇くん、ご飯食べたの?」
「部下と社で軽くとったよ。」
「彩は?ちゃんと食べたのかぁ?
「…。」
「なんか、顔赤いよ?」
「大丈夫…だよ」
勇くんが額に手を当てた
「熱い…。熱あるぞ…。」
「今、冷してあげるからなぁ」
「食事とれるか?」
「欲しくない」
「少しでいいから
スープ温めるから飲んで。」
勇くんの優しさが痛い。


翌朝、まだ下がらない熱に
「病院行こう?俺と
今日休むから、なぁ?」

「でも、大切なプロジェクトが…。」
「そんな事より、
あや…が大事なんだよ」

ふらふらな身体を支えられて
勇くんの友達の病院に連れて行かれた。


ここは、大学時代の友人、和樹の病院。
俺が言うのもなんだが、イケメン。
和樹の顔のせいで、看護師の求人倍率
急上昇。

看護師に中で説明すると
診察室によばれた。
カルテを見ながら和樹が椅子を俺に向けた。

「勇人、あやちゃんって生理今月来てるか?」

「そう言えば、
遅れてるって言ってたような。」
「やっぱりなぁ…。」
「なんだよ‼︎あやに何か…。あや…。」
「バーカ!お前旦那だろ‼︎やる事
やってんだろ‼︎」「え⁇⁇」
「妊娠してる。3ヶ月目」
「マジかぁ‼︎ 」
全身が震えるほどに嬉しくて
直ぐにでも彩を抱きしめたいと
思った。
「勇人、しばらくは、安静だぞ。」
衰弱している身体に、妊娠だ。今は、
栄養をとって、精神を安定させてやれ」
「わかった。全力で守る。」
「昔のお前からは、想像できねぇなぁ
彩ちゃんに惚れてます。ってかぁ?」
「うるせ〜。良いんだよ。」
勇人のヤツめちゃくちゃ照れてるよ。












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