君と春を

それから私は少しずつ、佐原君のことを受け入れた。いきなり好きにはなれないけど、せめてこの苦しくて切ない気持ちが消えたらいい…そう思っていた。

佐原君はいつも私とのことを考えてくれていて、一緒に帰るようになった夏にはもう公認の仲だった。

とはいっても、私が付き合いをOKしたわけではなかったのだけれど。

佐藤君を好きな気持ちはだんだんと薄れていっている気がしていたけど、なかなか心から完全に消し去ることができずにいて、佐原君の優しさに甘える形で一緒にいることが心苦しくもあった。